▼「トリプトファン」とは・・・
うつ病の比較的最近の治療薬であるSSRIは、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの機能を亢進させる作用を持ちます。
セロトニンは、トリプトファンから合成されます。
トリプトファンは赤身の肉に多く含まれますが、卵、牛乳などにも多く含まれます。
肉を食べないで、トリプトファンの摂取量が減ると、血液中のトリプトファン濃度が低下して脳のトリプトファン濃度も低下し、うつ病になりやすくする可能性があります。
ここで重要なことは、トリプトファンを脳に運ぶのはブドウ糖であるということ。
そこで、炭水化物や甘いものを適度にとらないと、トリプトファンが脳に入らず、うつ状態が起こったり、うつ状態が増進したりすることも考えられます。
甘いものを摂取することは、脳の栄養補給という意味でも大切ですが、トリプトファンを脳に輸送する意味でも大切。
最近の脳の画像診断法であるPETによると、脳内セロトニン合成能力は、「女性<男性」となり、女性の方がセロトニンの合成能力が弱いことが明らかにされています。
特に、トリプトファンが欠乏すると顕著に。
うつ病は女性が男性の約2倍多いこととセロトニン合成能力とが関係あるのかもしれません。
最近の女性のダイエット志向は、精神状態を安定化することに逆行するのではないかとも思います。
セロトニンが欠乏して、セロトニン活動が低下すると、衝動的になり、不安、イライラが起こり、抑うつ気分になりやすくなります。
寛解状態にあるうつ病患者にトリプトファン摂取を制限すると、うつ状態が悪化するという研究結果も発表されています。
セロトニン神経は、ほかの神経からの刺激と関係なく、自分で活動。
覚醒時には2〜3回/秒、リズミカルなインパルスを発し、ちょうど脳のBGMのように雰囲気やムードをつくり、セロトニン神経が作動していると「元気」な状態が維持できるのです。
トリプトファン
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